6月14日(金)、閉店後の館内で、玉川高島屋S・C初の「Night Library」を開催しました。
会場は、本とアートが並ぶカルチュラルな空間、本館1F GRAND PATIO Library & Art。
こちらのライブラリーの選書を手掛けるブックディレクター幅 允孝さんをゲストにお招きして、8月1日(木)からの展示テーマでもある「みんなでMANGAを語ろう」についてお話しいただきました。


昼間とは少し違う、落ち着いた光に包まれた夜のライブラリー。
ソワソワしながら待っていると、幅さんの柔らかな語り口とともにトークショーが始まりました。


2019年に大英博物館で開催された「The Citi Exhibition Manga」に感銘を受けたこともあり、今回の選書のテーマを「MANGA」にしたという幅さん。
「漫画」ではなく「MANGA」と表現しているのは、「文学(物語)」としての視点だけではなく、構図の妙や背景の緻密な描写、物語の1コマでは済ませられないような引力をもつ「美術」としての美しさも感じてほしいという幅さんのメッセージが込められています。

今回は、「1970年代」、「80年代以降」、「2000年代」と、時代を追いながらお話しいただいたのですが、幅さんが紹介する多彩な時代、ジャンルのタイトルとその作品に込められた作者の想い、時代のムードを知ると、心がざわざわしたり、じんわりしたり、ハッと考えさせられたり。


「MANGAには、時代性が表れます。世の中の動きを見る時に、定点観測的にMANGAを読むこともあります」と、幅さん。
たしかに、ジェンダーの捉え方も家族の役割も、権力の描き方も、漫画にはその時代の価値観や憧れが色濃く反映されているものだと、新しい気づきをいただきました。


さらに幅さんは、「MANGAの1コマをきっかけに、普段見過ごしていたことに目を留めることがあります。そこから想像力が膨らみ、思いもしなかった世界へと私たちを連れて行ってくれるのです」とも話されていました。


みなさまもぜひ、本館1F GRAND PATIO Library & Artに並ぶ作品をまずひとつ、手に取ってみてください。
何気なく開いた一冊が、思いもよらない新しい世界へとつながっていくかもしれません。


■幅 允孝
有限会社BACH(バッハ)代表取締役。ブックディレクター
人と本の距離を縮めるため、公共図書館や病院、動物園、学校など様々な場所でライブラリーを制作。時間の奪いあいが激しい中で本を手に取りたくなる環境とモチベーションをつくることを心掛けている。安藤忠雄氏の建築による「こども本の森 中之島」ではクリエイティブ・ディレクションを担当。最近の仕事として「ミライエ長岡 互尊文庫」や「早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)」での選書・配架、ロンドン・サンパウロ・ロサンゼルスのJAPAN HOUSEなど。近年は本をリソースにした企画・編集の仕事も多く手掛ける。京都「鈍考/喫茶 芳」主宰。


■本館1F GRAND PATIO Library & Art
知と美との新たな出会い、文化的な催しとのふれあい、ライブラリーとギャラリーを備えた、カルチュラルに過ごせる場所。自然樹形の樹木、リユース材を採用した家具等を配した落ち着いた雰囲気の中で、アートや書籍を楽しむことができる空間です。